保育士の福利厚生は公立と私立で違いある?抑えるべきポイント解説!
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福利厚生とは、企業がそこで働く人々に給与以外で支給するものです。金銭ではありませんが、それを支給されることで働く意欲が増して能率が向上するなど、福利厚生によって企業に対する貢献度が高まります。
もちろん、福利厚生が充実している方が働く側にとっても働きやすいということができます。保育士というと過酷な労働環境が取りざたされますが、福利厚生はどうなのでしょうか。
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保育士の福利厚生サービスについて
保育園の規模などによっても異なりますが、保育士も一般的な会社員と同じような福利厚生が受けられます。社会保険完備とされていれば、雇用保険や労災保険、健康保険、厚生年金保険が含まれていることになります。
雇用保険に入っていなければ失業しても失業保険を受け取れませんし、労災保険に入っていなければ仕事でけがを負っても給付金を受け取ることができません。
また、仕事に関係なくけがや病気をした時に医療費が大幅に軽減されるのが健康保険で、高齢になった際に受け取れるのが厚生年金保険です。
保育士もいくつかの手当てがもらえる
保育士にも、お給料の他にさまざまな手当てが支給されることがあります。通勤手当や住宅手当、扶養手当、資格手当、時間外手当、役職手当などが挙げられるでしょう。
ただし、通勤手当は全額支給ではなく上限が決まっているところもあるので、遠方から通う際にはよく確認しておく必要があります。同様に、住宅手当も全額または一部の支給となります。
時間外手当については、基本的には1日8時間を超えた分や休日出勤した場合は手当てとして支給されます。また、行事など特殊な業務の際に手当てが支給されたり、調整手当が支給されることもあるなど、事業所の方針によってさまざまなものが考えられます。
保育士の共済制度とは退職金が支給されるためのもの
共済制度で良く知られているのが退職共済でしょう。これは、事業所が退職金共済事業本部と契約を結んで掛け金を支払うことで、保育士が退職した際に退職金が支給されるものです。
金額は、退職前数か月の平均給与月額や勤務年数、また、退職理由などによって異なります。また、もしも退職金共済事業本部と契約していない事業所の場合は、事業所独自の退職制度があることもありますが、退職金がまったくでないということもあります。
他にも、結婚祝い金や出産祝い金、出産育児一時金、三大疾病見舞金、傷病見舞金などさまざまな種類の共済制度があり、支給されるかどうかは事業所によって異なります。
保育士の賞与・ボーナス
保育士の賞与やボーナスは、企業の収益が年ごとに違う一般の会社員のように大きく増減することはあまりなく、毎年安定した金額が支給されます。ただし、私立の保育園は公立よりは業績が反映されやすいので注意が必要です。
支給時期は私立も公立もほぼ同じで、通常は7月と12月に支給されます。初年度は雀の涙ともいえる金額のことが多くなりますが、翌年からは7月には給料の2倍程度、12月には2.5倍程度が支給されるケースがよくあります。
しかし、業績が反映されることで、前年は給料の2倍もらっても翌年は雀の涙ということも考えられます。
標準手取りは基本給に手当てが含まれた金額を意味するので、後者の方が賞与・ボーナスの金額が大きくなります。とはいえ、賞与やボーナスは事業所によって大きく異なることが特徴です。
1年で給与の7か月が支給されるところもあれば、そのような制度自体がないというところもあります。多いところとまったくないところでは年収が雲泥の差となるのは一目瞭然なので、後から後悔することのないよう転職の際にはしっかりと確認しておきたいものです。
平成26年に厚生労働省が実施した調査によれば、保育士の賞与・ボーナスの平均額は57万円となっており、これは給与の4か月ほどに相当する金額です。
保育士が得られる『3つの休暇』
保育士には、だいたい3つの休暇が付与されます。その一つが年次有給休暇です。法律では、勤務がスタートしてから6か月後に年10日の有給休暇が与えられることが決められています。
また、消化できなかった分は翌年に繰り越すことが可能です。有給休暇は1年ごとに付与日数が増えていき、最大では、勤続6.5年で20日間与えられます。
保育士の休暇の2つ目は産前・産後休暇です。どのくらいの期間を取得できるかは事業所によって異なりますが、産前休暇の場合は、出産予定日の42日前から出産当日までとしているところがほとんどだといえるでしょう。
一方の産後休暇は出産の翌日から56日目までのことが多く、遺子助産師の許可があれば42日後から勤務をスタートすることもできます。
保育士の休暇の3つ目は育児休暇です。育児休暇は、出産後58日目から子どもが満1歳の誕生日を迎える前の日までの期間に取得することが認められています。
また、2017年10月からは、保育所が見つからなかったり、自分自身がけがや病気で育児ができなくなってしまった時には、子どもが2歳になるまで育児休暇を取得することが認められています。ちなみに男性の保育士も同様に育児休暇を取得することが可能です。
保育士のその他の福利厚生
福利厚生は、一般企業などでは上記の他にさまざまなものがありますが、保育園も規模の大きなところとなると同じように福利厚生が充実する傾向にあります。
例えば、提携している保養所や高級ホテルの宿泊代、テーマパークの入場料などが割引になったり、フィットネスクラブが会員にならなくても1回数百円と格安で受けられたりといったものがあります。
また、商業施設や一般企業などに入っている保育所であれば、社員食堂で格安なランチができるといったケースもあります。
社員寮が用意されている保育園もあります。生活費の中でもっとも大きな割合を占めているものといえば住居費ですが、社員寮であれば非常に安い家賃を払うだけでOKです。
中には栄養バランスの整った食事が提供されるところもあるので、日々の健康管理にも大いに役立つことでしょう。
保育士は抑えておくべき福利厚生
通常であれば決められた福利厚生を普通に受けることができるものですが、一般企業の一部がそうであるように、保育事業所も福利厚生を十分に受けることができないことがあるので注意が必要です。
有給休暇などはその良い例といえるのではないでしょうか。労働者に必ず保障されている休暇にも関わらず実際には取得できないといったことは珍しい話しではありません。
これは、保育業界は慢性的に人手不足というのが現状で、とても営業日に休みを取得するなどはできないというものです。
一般企業と同じですが、保育士はサービス残業が多いという特徴があります。残業代は1日の労働時間が8時間を超した場合に支給しなければいけませんが、実際には支払われないというケースがあります。
保育士は仕事の内容から自宅に持ち帰って行うことも少なくないので、転職の際には詳細までしっかりチェックしておいた方が良いでしょう。
さらに、パートやアルバイトの場合は社会保険に加入できるかも前もってチェックしておきたいものです。
正社員であればさすが社会保険には加入できるといえますが、パートやアルバイトの場合は週の労働時間によって異なります。
週20時間以下の場合は加入させる義務がないため、事業者によって対応はさまざまです。社会保険の有無は、退職後や老後など後々大きな問題となることがあるので転職の際には注意が必要です。
公立保育園と私立保育園の福利厚生の違い
以上のような福利厚生は事業所によって異なるわけですが、大きく分けると公立保育園と私立保育園とで違いがあるということができます。
公立保育園で働く地方保育士は公務員待遇となることから、賞与やボーナスも公務員の給料に準ずることとなり、私立保育園の保育士の2倍以上もらえるケースもあります。
そもそも公立保育園というのは、市区町村といった自治体によって運営されています。そのため、公立保育園で働く保育士は地方公務員ということになります。
保育計画なども自治体で決定され、カリキュラムなども自治体で決められたものを実施します。一方、私立保育園を運営しているのは、学校法人やNPO法人、民間企業などさまざまです。
福利厚生を考えるなら公立保育園への転職がおすすめ
公立保育園と私立保育園とでは、福利厚生面で以上のような違いがあることから転職するのなら公立保育園がおすすめです。
私立保育園ではなかなか行き届かない福利厚生も、公立保育園なら完備されているといってもよさそうです。
有給休暇や産休・育休なども、私立保育園ではあっても取れないとしても、公立保育園なら取得は保証されているようなものです。
給与も、地方公務員に準ずることから定期的に昇給しますし、前述のように賞与やボーナスも私立保育園よりも多いです。とはいえ、私立保育園の保育士の待遇は以前に比べればかなり改善されてきているといって良いでしょう。
公立保育園に転職するには
公立保育園の保育士は地方公務員であることから、転職するには各自治体が行っている保育士採用試験を受験して合格しなくてはなりません。
しかし、前述したように非常に好待遇であることから欠員が出ることもあまりなく、採用までの道のりはかなり難しいのが現状です。
試験に合格した後は、採用候補者名簿に名前が登録されるので各施設から声がかかるのを待ちます。つまり、ここで声がかからなければ働くことはできないのです。
しかも、名簿に登録されるのは1年という期限付きなので、期限内に採用が決まらなければまた試験を受ける必要があります。
私立保育園で公立に近い条件に転職もおすすめ
公立保育園は非常に難関なので、転職の機会を増やすために私立保育園で公立に近い条件のところも視野に入れるのがおすすめです。
前述したように、私立保育園では人員不足を補うために保育士の待遇を改善しようとさまざまな取り組みがなされています。そのため、中には公立とほとんど変わらないような待遇のところもあります。
また、公立保育園は現在減少の傾向にあります。その背景には、国の公務員削減や社会福祉事業の民営化といったものがあり、保育所にも民営化の波が押し寄せています。
そのため、公立保育園で働いていたとしてももしかしたら、働き続けることができないかもしれません。すると、待遇の良い公務員ではあってもまったく異なる仕事に就くことも考えられます。
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まとめ
保育士不足は大きな社会問題として取り上げられているので、今後はさらに福利厚生面の改善がなされていくと予想されています。
転職するなら、難関であり将来性に不安が残る公立だけではなく、私立も視野に入れていくと良いでしょう。