意外と知らない『社会福祉法人・株式会社・学校法人』保育園の違い!
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意外と知られていませんが、保育園の運営会社にはもともと設置主体制限がありました。この制限が撤廃される前には公立と社会福祉法人しか認められなかったのですが、現在では学校法人だけではなく、株式会社なども参入されるようになったのです。
この社会福祉法人や株式会社、学校法人といった保育園の運営主体によって、どのような違いが出てくるのでしょうか。ここでは社会福祉法人と株式会社、社会福祉法人と学校法人の違いについて検証してみます。
「社会福祉法人」の保育園とは
では最初に社会福祉法人の保育園とは、いったいどういうものなのでしょうか。そもそも社会福祉法人とは、社会福祉のためのサービスを提供する団体です。
保育園の運営以外にも、高齢者福祉や障害者福祉などに関する施設を運営するなど、その活動内容は様々だと言えます。
株式会社と同じようなものなのと考える人もいるかもしれませんが、大きな違いとしては利益を追求しないという点です。社会福祉法人の目的は、社会福祉の向上になるためです。
このことから税制上の優遇措置もあり、自治体からの補助金を中心に運営している保育園だと考えて良いでしょう。まとめます。
- 社会福祉法人は社会福祉のためのサービスを提供している
- 社会福祉法人の保育園は補助金を中心に運営される
といった形です。
「社会福祉法人」と「株式会社」の違い
では最初に社会福祉法人と株式会社との違いから考えていきましょう。社会福祉法人の特徴は以下の通りです。
- 利益を追求せずに社会福祉の向上を目的としている
- 保育園以外にも医療や介護などの事業を行っている
- 寄付金や補助金を資金としている
- 税制の優遇措置がある
対して株式会社の特徴は以下の通りです。
- 営利目的で保育園を運営している
- 規制緩和により参入できるようになり、都市部を中心に保育園を展開している
- 税制の優遇措置がない
といったような違いがあります。社会福祉法人は長く保育園を運営しているところが多く、ノウハウの蓄積があるのが大きなポイントでしょう。逆に株式会社は規制緩和以後の参入になるため、比較的に歴史の浅い保育園が多くなります。
「社会福祉法人」と「学校法人」の違い
次に社会福祉法人と学校法人との違いについても見ていきます。社会福祉法人については先程お伝えした通りなので、学校法人について検証しましょう。
- 私学の設立や運営を目的とする公益法人である
- 学校法人の管轄は文部科学省で、社会福祉法人は厚生労働省の管轄
- 学校法人は教育の色が強い
- 運営に必要な範囲内での収益事業が認められている
- 一定の税制優遇措置があるが社会福祉法人ほどではない
といった形となっています。端的にお伝えすると社会福祉法人と株式会社の中間的な存在が、学校法人であるのです。学校法人の場合は、どこそこ大学の付属幼稚園や保育園といったような形が一般的でしょう。
社会福祉法人の保育園は『2種類』
次に社会福祉法人の保育園の種類について考えてみます。社会福祉法人といっても大きくは2つに分類できます。
この2つです。
【種類1】小規模の社会福祉法人
小規模な社会福祉法人というのは、従来の組織であると考えて良いでしょう。いわゆる地域に根付いた保育園を運営しているケースが多く、1つの法人が複数の保育園を展開するのではなく、1つの園を運営しているのが特徴です。
お寺や教会などが運営しているケースも珍しくありません。先程お伝えしたように、地域に根づいた保育園がほとんどです。そのため地域との交流を活発に行なっていたり、ベテランの保育士が多く在籍しています。その結果として指導体制が充実しているのです。
反面で長く運営しているだけあって、施設が古くなっている可能性が高いです。親御さんが通っていた保育園だから、子どもも通わせたいなどのように運営としては、かなり安定しているケースも目立ちます。
他にもポイントはある?
他にも長期間の保育園運営ノウハウがあるというのもポイントになるでしょう。
【種類2】大規模の社会福祉法人
もう1つの運営規模が大きい社会福祉法人ですが、こちらは2000年の規制緩和以後に登場しています。株式会社が参入したことがきっかけで、社会福祉法人の中にも複数の園を展開するケースが増えてきたのです。その規模は各法人によって異なります。
ですが中には20以上もの保育園運営を行っている法人もあるほどです。また1つの地域に展開するようなケースから、県を跨ぐような運営などもあります。ただしどの保育園にしても、統一した理念に基づいたものであるのは同じです。
系列の保育園ごとのつながりが強いのも特徴の1つで、まとまった新人研修をするようなケースもあります。そのため自分の希望勤務先を選ぶこともできるのですが、反面で人員不足などの点から、他の保育園への配置換えがあるかもしれません。
社会福祉法人の保育園で働くメリット・デメリット
では社会福祉法人の保育園で働くメリットやデメリットを調べてみます。社会福祉法人には多くのメリットもありますが、その反面でデメリットとなる点もあるでしょう。では1つずつ確認していきます。
社会福祉法人の保育園で働くメリット・デメリット | |
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社会福祉法人の保育園で働くメリット | |
保育園運営の歴史が長いので運営基盤が安定している | 社会福祉法人への指導監査が入ることがある |
複数施設の運営を行っている法人であれば勤務希望地の融通がきく | 営利目的での運営ができないので備品など古いものが多い |
ベテランの職員が多く指導体制が充実している | 家族経営の保育園だと人間関係が重要になる |
福利厚生などが良い傾向にある | 地域密着であるため学閥や地元意識が強い |
地域に根づいている保育園なので方針が一貫している | 比較的に経営が安定している保育園が多いが、中にはリスクがある園もある |
社会福祉法人の保育園で働くメリット
社会福祉法人の保育園で働くメリットは、どんなものがあるのでしょうか。
- 保育園運営の歴史が長いので運営基盤が安定している
- 複数施設の運営を行っている法人であれば勤務希望地の融通がきく
- ベテランの職員が多く指導体制が充実している
- 福利厚生などが良い傾向にある
- 地域に根づいている保育園なので方針が一貫している
などのようなメリットがあります。社会福祉法人で働く大きなメリットとしては、やはり待遇面が比較的に良い点でしょう。地域に根づいている保育園が多く、運営基盤などが安定しています。そのため待遇や福利厚生が充実しているのです。
またベテランの職員さんが多いのもメリットの1つです。なにか指導方針で悩みがあった時などは、相談にのって貰えるでしょう。資格を取得したばかりの人でも指導体制が整っているので安心です。
社会福祉法人の保育園で働くデメリット
では逆に社会福祉法人の保育園で働くデメリットも確認します。
- 社会福祉法人への指導監査が入ることがある
- 営利目的での運営ができないので備品など古いものが多い
- 家族経営の保育園だと人間関係が重要になる
- 地域密着であるため学閥や地元意識が強い
- 比較的に経営が安定している保育園が多いが、中にはリスクがある園もある
社会福祉法人のデメリットについてです。良くも悪くも社会福祉法人の保育園は長年の安定した実績があります。
そのため慣習にとらわれずに新しいことにチャレンジしたいという人には、息苦しいと感じる人も多いでしょう。
社会福祉法人と株式会社の保育士求人を比較
では社会福祉法人と株式会社の求人を、比較して違いを確認してみます。各園やその地域によっても異なるのですが、基本的に給与は社会福祉法人の方が高くなりがちです。株式会社の保育士求人と比べると数万円の違いがでるでしょう。
月給で数万円の違いなので、年収にすると大きく開きが出てきます。さらに住宅手当などのような福利厚生でも違いがあるでしょう。ただすべてのケースで社会福祉法人の保育園が良いわけではありません。逆に株式会社の保育園でも同じです。
保育園の運営方針はそれぞれに特徴があります。福利厚生や給与待遇面だけを見て、就職や転職先を決めるのは良くないです。各園の運営方針や指導方針などもあるので、やはり自分に合う園を見つけるのが重要になるでしょう。
社会福祉法人運営の保育園で働く前に知るべき『3つのこと』
最後に社会福祉法人と株式会社の保育士求人には、どのような違いがあるのかも把握しておくべきポイントです。ここでは主に3つの点を紹介します。
以上について考えていきましょう。
【1】社会福祉法人の保育園で働くために必要な資格
社会福祉法人の保育園で働くために必要な資格を考えてみます。
- 保育士資格
- 栄養士資格
- 調理師資格
- 看護師資格
などのような資格があるといいです。特に正社員として保育士で働くのであれば、保育士の資格は必須になります。他の資格は求人案件の数は少ないですが、稀に募集がかかることがあるそうです。
栄養士や調理師の資格があれば、厨房での仕事という形になります。看護師を資格を持っていると園専属の看護師として仕事が可能です。ただし求人案件の数そのものは多くありません。
あればラッキー程度に考えておくといいでしょう。保育士は人手不足であることも多いので、しっかりと条件を確認してください。
【2】社会福祉法人の保育園の平均給与
次に社会福祉法人の保育園での給与についても考えてみましょう。先程お伝えしたように、基本的に株式会社の求人案件よりも高めの設定となっています。ただし地域差がかなり大きいと言えます。都市部は高めの傾向があり、地方は低めの傾向があります。
それでも全体的な傾向として社会福祉法人の保育園だと、数万円ほど高くなっているのです。また役職によっては、数十万円もの給料の差がでることもあります。
株式会社の保育園でも待遇面で頑張っているところもありますが、基本的には社会福祉法人の方が高いです。ただし給与や待遇面だけで考慮するのは良くありません。
【3】社会福祉法人の保育園の勤続年数・キャリアアップ
社会福祉法人の保育園での勤続年数や、キャリアアップについても考えましょう。勤続年数については以下のようになっています。
- 社会福祉法人保育園の常勤職員の平均年数が約10年
- 株式会社保育園の常勤職員の平均年数は約4.5年
一見して分かるように社会福祉法人の保育園の方が、2倍程度長く勤務しているのが分かります。これが意味するのは待遇面などが良く、働きやすい環境である傾向が強いということです。一方でキャリアアップについても見ます。
- 社会福祉法人保育園の施設長は約25年
- 株式会社保育園の施設長は約10年
といったような勤続年数になっています。つまり社会福祉法人の場合、施設長などの役職は一度就いたら長くなるということです。そのためキャリアアップして施設長になりたいのなら、タイミング次第では転職するしかありません。
まとめ
社会福祉法人の保育園と株式会社、学校法人の違いについてでした。社会福祉法人は非営利の組織なのが特徴で、いわゆる地域に密着した保育園を運営しているケースがほとんどです。
対して株式会社は規制緩和以後に参入できるようになったため、比較的に新しい保育園になります。そして学校法人は社会福祉法人と株式会社の中間的な存在の保育園です。
運営組織による違いは、運営方針や保育士の待遇などにも大きな違いがあります。これらを比較勘案した上で、自分にあった職場を見つけるようにしてください。