意外と知らない!保育士に起こる『適応障害』とは?治療法は転職!
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どんなに大好きな仕事でも、毎日の職務の中では様々な人間関係でストレスを抱えたり、トラブルにうまく対処できずに行き詰ってしまうということは誰にでも起こりかねません。
そうしたストレスが少しずつ体内に蓄積されていくと、思いがけない精神疾患を引き起こしてしまうことは少なくないのです。適応障害もそうした精神疾患の一つですね。
様々なストレスに囲まれている保育士のお仕事は、適応障害にかかってしまうリスクが高いお仕事とも言われています。ここでは、保育士と適応障害との関係、そしてどんな風に対応すればよいのかという点についてご紹介しましょう。
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保育士に起こる適応障害とは精神疾患の一つ
適応障害は精神疾患の一つで、自分を取り囲む周囲の環境や状況に対して、自分が耐えられなくなってしまうほどツライと感じることが原因で引き起こされます。
世界保健機構が定めた診断ガイドラインによると、この疾患は「ストレスが原因によって引き起こされるもので、行動面や情緒の面に症状が起こりやすく、社会的な機能が障害されている状態」と定義されています。
適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。
保育士というお仕事は、園児たちとの人間関係が難しいだけでなく、その保護者との人間関係にも対応しなければいけません。
さらに、職場は小さな職場が多くギリギリ最少人数のスタッフで切り盛りしているので、そこでの人間関係の快適さによっては、仕事がやりやすくなることもあれば働きづらいと感じることもあるでしょう。それだけではありません。
保育士は女性が圧倒的に多い職業で、保育士が働く保育園も、女性のスタッフが大半を占める「女の職場」となっています。
そこでは女同士の人間関係やマウンティング、いじめなども存在するため、保育士にとってはあちこちからストレスを受ける要因が満ち溢れているのです。
適応障害による主な症状
適応障害は精神疾患の一つで、どのような症状が起こるか、またどのぐらいの度合いで起こるのかという点については、個人差があります。
多くの人が実感する適応障害の症状には、慢性的な頭痛を感じるようになったり、夜グッスリ眠ることができない不眠、またいつも疲れているような感じがする疲労感など、気分的な症状があります。
適応障害による症状は他にもあります。不安な気持ちが強くなり、どんな事でも以前よりも心配するようになったり、イライラが止まらなくなるなど、精神状態が穏やかに安定できない症状が起こってしまう場合があります。
抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状があります。置かれている状況で、何かを計画したり続けることができないと感じることもあるでしょう。また行動面では、行きすぎた飲酒や暴食、無断欠席、無謀な運転やけんかなどの攻撃的な行動がみられることもあります。
その他、うつ病なのではないかと考えてしまうほど、絶望感から抜け出せなくなって毎日暗い気持ちで過ごすようになったり、ちょっとしたことでも涙もろくなってしまうという症状が起こることもありますね。
適応障害はこのように精神的な症状が起こりやすいのですが、中には異常行動に走ってしまう人もいるので注意しなければいけません。例えば、問題的な行動を職場で起こしたり、社会的なルールやモラルに反するような行為をするなどもあります。
また、適応障害にはいろいろな症状がありますが、自分で症状を選べるわけではありませんし、症状の出方や強さにも個人差があるため、自分で適応障害だと自覚していない保育士も多いのです。
保育士に適応障害を起こすと考えられている原因
適応障害を引き起こす要因は、ずばりストレスです。人間社会ではいたるところにストレスの要因が存在していますよね。保育士というお仕事の場合にも例外ではなく、毎日慢性的なストレスに押しつぶされそうになっても頑張っている人がとても多いのです。
保育士の適応障害を引き起こす要因となるストレスは、大きく分けると3つあります。1つ目は、保育園の園児や保護者との人間関係によるストレスですね。
クレーマーの保護者から目を付けられてしまうと、些細なことでも大騒ぎされてしまったり、子供が言うことを聞いてくれないなど、大きな悩みの種になってしまうことは多いでしょう。
2つ目のストレスは、職場のスタッフとの人間関係があります。
保育園は女性が大半を占める女の職場というだけでなく、少ないスタッフ数で働いているため、グループが出来たり上下関係が存在していたり、また中には嫉妬や妬みによる嫌がらせ、陰湿ないじめなども起こりかねない環境です。
3つ目のストレスは、仕事が終わらないために残業をしなければいけなかったり、自宅に仕事を持ち帰らなければいけないなどのストレスですね。
特にイベントが多い保育園で働く保育士に多く見られる要因で、イベントの準備作業に追われてしまい、オフなのに自宅で仕事をしていて、まったくリラックスできないということは珍しくありません。
うつ病との違い
適応障害もうつ病も精神疾患です。どちらも、絶望的な気持ちになって毎日暗い気持ちで過ごすことになるなど、よく似た症状もあります。
適応障害とうつ病には、よく似た症状がある反面、違いもあります。この二つの疾患を比較して、最も大きく異なる点、そして自分がどちらの疾患なのかを決定づける違いは、持続性があるかどうかという点です。
例えば適応障害の場合には、ストレスの原因となっている要因を取り除けば、症状はすぐに収まって元通りの自分に戻れるという特徴があります。
うつ病の場合には精神的なバランスがマイナスの所で止まってしまい、ストレスの原因を取り除いてもなかなか気分が元通りにならないという精神疾患です。
上記の例を挙げると、転職したり仕事をやめてストレスの原因がなくなっても、絶望的な気持ちはそのまま続いてしまうことになります。
適応障害になった保育士さんの具体例
適応障害にかかりやすい職業はたくさんありますが、保育士もの一つです。具体を挙げてみましょう。
保育士として働くAさんは、毎日朝になると気分が悪くなって吐き気を催すという症状が起こりました。最初はあまり心配していなかったようですが、症状は朝と昼間が最も強く、夕方になると自然に気持ちが軽くなるという日が続いたとのことです。
放置していたところ、夜眠れない不眠の症状が起こってしまいました。体がクタクタに疲れていても、頭がさえてしまって眠れず、結局明け方にならなければウトウトできない毎日が続いたのです。
彼女の場合、両親と同居していたため、心配した両親が休職を勧めたところ、仕事をやめたとたんにケロリと症状がおさまったのだとか。
Aさんのように適応障害だと自覚せずに症状を戦っている人はたくさんいます。周囲でアドバイスをしてくれる人がいればよいのですが、一人暮らしをしていたりすると、気軽に仕事を休職するということも難しいですよね。
大切なことは、普段とは異なる症状が出たら、無視せずに原因を考えてあげること。そして放置せずに、おかしいなと思ったらすぐに病院を受診して適切なアドバイスと治療を受ける事ではないでしょうか。
一年目がなりやすい?適応障害になりやすい保育士の特徴
どのような精神疾患でも、かかりやすい人とそうでない人には大きな特徴があります。適応障害にかかりやすい保育士の場合には、
- 神経質で細かい部分まで完璧にこなさなければ満足できない人
- 真面目な性格で、物事を全て生真面目にとらえてしまう人
- 責任感が強く、終わらない仕事を終わらせなければ大きなストレスを感じてしまう人
- 悩みを周囲に打ち明けることに抵抗があり、一人で抱え込んでしまう人
などがあります。多くの部分はその人の性格なので、努力しても性格そのものを変えることは難しいです。
しかし、こうした性格は人間関係においてストレスを受けやすく、適応障害などの精神疾患の要因となりやすいので注意しなければいけません。
保育士が適応障害になったときの対処法・改善
適応障害の要因は、ストレスにあります。つまり適応障害と向き合うためには、ストレスと向き合うことが必要不可欠というわけですね。
この疾患は要因を取り除けばケロリと症状がなくなるという特徴があるため、もしも職場に適応障害の要因があるのなら、転職をして職場の雰囲気や環境を一変するという方法がオススメです。
特に近年では、ブラック保育園と呼ばれる劣悪な労働環境で長時間労働を強いられる保育士が後を絶ちません。
そうした環境に耐えていても、適応障害は良くなるどころかどんどん悪化してしまうでしょうし、他の精神疾患をひき起こす可能性も高くなってしまいます。
もちろん、その人の考え方や性格によって、適した対処法とそうでない方法とがありますし、一人で対処しようと頑張らずに、医師の診察を受けたりカウンセリングを受けながら、プロの助けを借りて対応するという方法もおすすめですよ。
保育士が適応障害になったとき退職・休職・転職のどれかを選択する
保育士が適応障害を発症する場合、その多くは職場にストレスの原因が潜んでいます。そのため、どうしても自分自身で対処できないという場合には、退職したり休職したり、また転職をして職場からの距離を遠くするという方法が有効です。
どの方法がその人に適しているかはケースバイケースですが、職場の人間関係がストレスになっている場合には、休職しても元の職場に戻ることで再発する可能性が高いため、転職もしくは退職が良いかもしれませんね。
ストレスの原因によっては、転職することで症状がケロリとなくなる人もいれば、保育士というお仕事から遠ざかることによって治療できる人もいます。
退職がオススメなのは、両親と一緒に生活していてお給料が一時的に途絶えても生活を圧迫する心配がない人、また結婚や出産など、堂々と退職できる口実のある人などです。
休職がオススメなのは、職場の人間関係ではそれほど悩んでいないけれど、園児や保護者とのトラブルでキツイと感じている人、退職したり転職など、現在の職場を離れることに抵抗がある人などです。
そして転職がオススメなのは、職場での人間関係や仕事の量に対して大きな不満とストレスを抱えている人ですね。職場環境を変えることによってストレスの要因を除去できますし、保育士という大好きな仕事を続けることもできるでしょう。
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まとめ
保育士というお仕事は、職務の中で様々なストレスを感じやすいお仕事です。そのストレスには、他の保育士との人間関係や、園児や保護者との人間関係などがあります。
適応障害を発症した場合、はっきりと分かる症状が出ることは少なく、多くの場合には気分がすぐれないとか、疲れが取れない、不眠など、誰にでも起こるような症状からスタートすることが多いものです。
症状の出方や度合いには個人差があるので、自分自身で適応障害を患っていることを自覚せず放置している保育士も多いと推定されています。
適応障害の治療法や対処法は多種多様です。しかし、自分でいろいろ努力してもなかなか症状が改善しない場合には、転職や退職、休職することも視野に入れることをおすすめします。