現役保育士の声「給与が安くて生活が苦しい」今こそ人生設計を考える
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現役保育士さんのなかで「給料が安い」と不満を感じている人はたくさんいるはず。子どもが好きで保育士になるのが夢だったという人にも、生活があります。
社会保障や将来的に訪れるとされる社会の形態を想像すると、節約して生きているのに貯蓄もできない今のままで働いていいのかという気持ちになります。
また、給料の不満を、労働と賃金が釣り合わない状況と捉えている保育士さんもいるでしょう。つまり、今の給料でもいいから労働条件や職場環境の方を改善してほしいという願いです。
いずれにしても、労働は自分の人生に直接的に関わってくる問題です。この先、どうやって生きたいのかという人生設計を考える時間を作り、それに向かって行動することも大切です。
今回は、SNSによる現役保育士さんの声をとり挙げながら、保育士の給料の安さについて書いていきたいと思います。
辞めたくなるほど給料が安い!保育士の平均給料は?
年金払えないから2000万円蓄えるようにと言われましても、給料が17万円でどうやって蓄えるのか。とりあえず今の生活でいっぱいいっぱい。こんな生活なのに月に二万円くらい自腹で保育に使うもの買う保育士。人の子は幸せになるけど、自分は将来野垂れ死に決定。来世はケサランパサランになりたい。
— けめこは保育士を辞めたい (@kemeko85) June 4, 2019
このツイートを見て、共感できるという保育士さんも多いのではないでしょうか。厚生労働省による平成29年度の調査によれば、保育士の平均賃金は月22万9900円でした。
これは20代前半の場合には18万8000円、20代後半は19万8000円、30代は20万前後の平均賃金となっています。
この平均月給には残業代などすべての手当が含まれています。そして税込みなどで、市民税や年金を引くと実質、15万~16万円の手取りとみていいでしょう。ここから家賃や食費、諸々の生活費を支出していけば、手元に残るお金はほぼゼロに近いです。
買いたいものを買えず、貯蓄もできないばかりか、必要なものにあてるお金さえありません。病気でもしてしまったら、それこそ死活問題になるような現状です。
これは保育士さんに限らず、この層の賃金で働いている全ての人に言えることでしょう。そこで、気になるのが給料の決め方。どうやって給料は設定されているのかを見てみましょう。
給料ってどうやって決まるの?
これでなー給料が30万くらいだったら頑張れるんだけどな。そうそう、手取り17万って言ってたけど、市民税入ってなかった。請求が来て、わたしの手取りは15万を切りました。
来月は米が買えない可能性が出てきました。
米すら買えない保育士!
大事なお子様をお預かりしている保育士は米が買えない。— けめこは保育士を辞めたい (@kemeko85) June 10, 2019
今から一般的なお給料の決め方について、ごく簡単にだけ触れておきます。ここでの話は単純化したものですから、大まかな理解のための解説だと思ってください。
まず、基本的に給料とは何なのかということですが、保育士さんでいう場合、「保育士として労働するための力に必要なお金」ということになります。
例えば、明日保育園で業務をするためにはそれに必要な体がなければなりません。また、業務をするためにはそれに必要な知識やスキルがなければなりません。
業務のために必要な知識やスキルが多くて、追いつかないんだよね…。
知識やスキルのほか保育園に出勤するためには交通費がなくてはなりません。などのことも挙げられますよね。
要するに、明日働くために必要なお金を投資されているのが給料です。保育士という労働のためにどれくらいのお金が必要かは、需要と供給など社会的に相対化されてもいます。
また、保育士という職につくまでの勉強期間などについてもそのお金に含まれています。例えば弁護士のような仕事の場合、弁護士になるまでに長期間勉強する必要がありますし、弁護士の資格をとるための倍率も高く、高額な費用もかかっています。
そういったものも労働力の価値に加算され、給料の金額として反映されることにもなります。
こういう事情を考えたとき、現在の平均給料が10万円も上がるようなことにはならないと言ってもいいでしょう。
体力的にもつらい労働なのに給料が安い
保育士になってからお昼以外に水を飲まないというかどのタイミングで飲んでいいかわからず、帰りに駅で麦茶のペットボトルがぶ飲みする生活をしている。これから夏だというのに、自分が大丈夫なのか心配。水を飲みに行ってる間に「目を離したらダメでしょ!」と怒られたから余計に。昭和の部活みたい。
— けめこは保育士を辞めたい (@kemeko85) July 3, 2019
給料の不満と関連している不満といえば、働きにくい職場環境です。厚生労働省による「保育士における現在の職場の改善希望状況」というアンケートでは給与の不満のほか、職員の数を増やしてほしい、事務や雑務を減らしてほしいなどの不満も多くあります。
こんなに労働量が多くて、毎日残業ばかりなんだから給料アップしてほしいという意見につながるのでしょう。給料とは少し別の話になりますが、労働環境については園によってかなり違いがあります。
例えば、園児定員19名以下の小規模保育では、公立保育園よりも比較的慌ただしさも少な目ですむ園もあるでしょう。しかしここで問題になるのはやはり給料の話です。以下は施設の形態による平均給料です。
月給 | |
---|---|
公立保育園 | 28万円 |
私立認可保育園 | 26万2000円 |
認定こども園(私立) | 24万2000円 |
小規模保育(A型) | 23万2000円 |
事業所内保育(A型) | 21万1000円 |
園児数の少な目な小規模保育の施設では運営規模も小さくなるので、その分、給料は低めになっています。
こういう視点で転職を考えたとき、給料をとるか、労働環境をとるかのような二択となってしまいます。それも、「給料をとるか」の金額はさほど高くなく、「労働環境をとるか」も働きやすいかどうかは園にもよります。
転職で大事になるのが、情報収集です。自分の希望条件に合った求人をとことん探してみると、妥協ばかりの二択にはまりこまずに済むようになります。
転職すると決めた人は、必ず保育士専用のサイトを使いましょう。求人探しをいいかげんにしてしまえば、転職先の園でも新たな不満が生まれるおそれがあります。
処遇改善でも給料が上がらない
辞めたい辞めたい言ってたけど、連休明け後半から来てなかった子が辞める事になったらしい。職場LINEで知る。先越されちゃったよ。お疲れ様でした。
— けめこは保育士を辞めたい (@kemeko85) May 11, 2019
年度途中でも転職する保育士さんもかなり多いようです。近年、保育士不足で保育業界の需要と供給のバランスが崩れており、待機児童など社会問題化しているため、平成25年から保育士の処遇改善の政策が行われるようになりました。
平成29年度から実施された「技能・経験に応じた処遇改善」では、中堅の役職へのキャリアアップ制度が導入されました。
一定期間の研修を受けることで「職務分野別リーダー」「副主任保育士」「専門リーダー」の修了証が発行され、役職手当てとしてお給料がアップする制度です。
これにより、月最大4万円まで給料が増えますが、こういったキャリアアップをしても給料が上がらないという声も多数あります。
処遇改善のための国や自治体からの補助金は園にいったん支給されます。補助金の運用方法は園に任されているので、保育園によっては現場の保育士の給料にまったく反映されていないという話を聞きます。
保育士を辞めて他の仕事をした方がいいんじゃないか?と悩む保育士さんもいるでしょう。確かに、今の給料で、もっと労働量が少なくて済む仕事なら他にもたくさんあります。
でも、そうなれば大胆に進路を変えなければならないため、躊躇ってしまうかもしれません。まずはその前に「ほかの園の給料事情はどうだろうか?」と調べてみるのもいいでしょう。
ほかの園の給料事情とか調べると少しは良い場所に転職できるかな?
きちんとした転職活動の進め方をすれば、例えば今より3万円ほど給料があがるような園を見けられる可能性はかなり高いと言えます。
給料の高い求人を探すなら保育士専用の転職サイトを使おう
まとめ
今回は保育士の給料の安さについて書きました。国の政策で少しずつ給料が改善されだしてはいますが、現場の保育士さんからすればまだまだ不満が多いようです。
また、処遇改善がどれほど有効かもまだはっきりしていない状況です。そのため、まずはほかの園の給料事情を調べてみて、少しでも待遇の良い園へと転職するのも現実的な選択といえるでしょう。