モンテッソーリ教育とは?5つの教育方法と3つの特徴&保育園との違い
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幼稚園や保育園の案内を見ていると、たまにモンテッソーリ教育という文字が書かれていることがあります。このモンテッソーリ教育とは、いったいどういうものなのでしょうか。そもそも文字だけを見ても、具体的な内容がイメージできません。
そこでモンテッソーリ教育について詳しく検証してみます。もともとモンテッソーリ教育とはイタリアの医学博士が提唱した教育法の1つです。
それがどのような内容であるのか、どういう目的を持ったものであるのかについて見ていきましょう。
モンテッソーリ教育とは?誕生の経緯と歴史について
モンテッソーリ教育とはイタリアの女性医学博士である、マリア・モンテッソーリ氏が開発した教育方法の1つです。モンテッソーリ氏は障害児の教育に携わっていて、独自の教育法を開発していました。
この教育法は障害のある子供だけに、限定されるものではないと気づいたのです。そして同氏が監督、指導する保育施設で障害児以外の子供にも、適用されることになりました。これがモンテッソーリ教育の始まりです。
- 大脳生理学
- 心理学
- 教育学
などの面から効果があると考えられていて、教育環境や教具を整えるのが大きな特徴です。つまり一般的な保育園で行うことはできず、専門的な施設などが必要になってくると考えて良いでしょう。
モンテッソーリ教育の考え方や教育方針
ではモンテッソーリ教育の考え方や、教育方針はどこにあるのかも確認していきましょう。
- 子供は生まれながらにして自分自身を成長させる力がある
- 保護者や保育士などの大人は子供の成長要求を汲み取る必要がある
- 子供の自由を保証しないといけない
- 自発的な活動を助ける役割を大人がする
といった内容になっています。つまり子供は自分自身で成長する力を持っているので、大人が教え込むのは良くないというものです。
大人の役割は飽くまでも子供が自発的な活動をする手助けをすることにあります。そしてモンテッソーリ教育には整えられた環境が必要です。
- 子供が自由に教具を選べる環境
- 興味を引く面白そうな教具の充実
- 年齢横割りのクラス編成ではなく、年齢縦断型のクラス編成
- 1人1人発達が違うのでそれに応じた環境を整備すること
- モンテッソーリ教育を理解した指導者がいること
というのが整えられた環境になります。
モンテッソーリ教育の具体的な『5つの教育方法』
次にモンテッソーリ教育とは、具体的にどのような教育方法なのかを確認していきましょう。主にモンテッソーリ教育には5つの分野に分けられます。
といったようなものがあります。
【教育方法1】日常生活の練習
モンテッソーリ教育では教具を使った活動全般をお仕事と呼んでいます。これは自己を形成するための活動という目的があるので、特に目的をもたない遊びとは違うという認識からです。
日常生活ってどういう練習をしていくの?
日常生活の練習というのは、大人であれば当たり前に行っている動作を真似することを指します。
- 紐通しを使って縫うこと
- お箸を使う練習
- 机を拭く練習
- 手を洗う練習
などといったことが代表的です。こうした練習を教具を通じて行うことで、体の動かし方を身につけていきます。また自分でできるようになれば、それが子供の自立心を育むことになるのです。
一般的にはこうした動作を練習する時には、落としても割れないプラスチック製のものを使います。ですがモンテッソーリ教育では、プラスチック製のものを使いません。落とせば割れる本物を使うことで、動作を学んでいくのです。
【教育方法2】感覚教育
モンテッソーリ教育における感覚教育とは、抽象的な感覚を養うためにあるものです。例えば同じものでも長さが違う、重さが違うといったようなことです。教具を使うことで、こうした五感を通して感覚を刺激していくといった考えによっています。
- 円柱さし
- 音感ベル
- ピンクタワー
などといった教具を使っていきます。代表的なのは円柱さしです。大きさの異なる円柱と、それがハマる木板があります。子供は木板にある穴に、それぞれ大きさのあった円柱をハメていくのです。
これによって大きさの違いという感覚を学んでいくのと同時に、指先を正確に動かす訓練にもなっています。実はこうした教具は知育玩具として、一般的にも購入可能です。
【教育方法3】言語教育
モンテッソーリ教育の言語教育は、言語の発達を促すためのものです。子供たちは文字や言葉の意味がわからなくても、大人のマネをしたいという欲求があります。その欲求を満たすのが言語教育であると考えても良いでしょう。
- 絵本
- 絵カード
- 文字カード
などのような教具が良く使われています。絵カードというのは、小さなお子さんが対象のものです。文字カードは組み替えたりすることで、語彙を増やしていくために使われます。つまりある程度は大きくなったお子さんのためのものです。
自分で工夫して学習ができるように、様々な加工がされている教具があります。この教具にしても知育玩具として発売されていますので、保育園に預ける前から練習をさせたいという親御さんは検討してみるといいでしょう。
【教育方法4】算数教育
モンテッソーリ教育では数の概念を学ぶことも重視しています。先程お伝えした感覚練習において、多いや少ないといった概念を学べます。その多い少ないを一歩押し進めたものが算数教育です。
モンテッソーリ教育の特徴としては、数という抽象的なものを教具を使うことで具体的なものへと昇華している点でしょう。
- 銀行ごっこ
- 両替あそび
というものがモンテッソーリ教育の算数教育の代表的なものです。具体的に何をするかですが、以下のようなルールがあります。
- ビーズが10個集まると棒状のビーズ1本にする
- 棒状のビーズが10本集めたらビーズの板1枚にする
- ビーズの板が10枚たまったら立体のものにする
といった具合です。最終的に全体で何個のビーズが使われているのかを、計算するといったものです。
【教育方法5】文化教育
モンテッソーリ教育の文化教育は、身近なものを使って歴史や地理などを学んでいくという目的を持っています。例えば私達が住む日本という国は、どういう文化を持っているのかです。ただ子供に文化の話をしても分かりません。
そこで基本となる地図を使って学んでいきます。
- 地図パズル
- 時計
などが代表的な教具です。例えば日本地図を色分けしたパズルだと、県ごとに色分けがされていて、正しい形にしかハマらないようになっています。正しい位置にパズルをハメることによって、日本という国の形や県の大きさや場所などを学べる仕組みです。
地図パズルには日本だけではなく、世界地図のバージョンなどもあります。こうしたパズルを使うことで、お子さんがより身近に世界に触れられるのです。
モンテッソーリの園と一般的な園の違い
ではモンテッソーリ教育を行っている保育園と、一般的な保育園ではどのような違いがあるのかも確認していきましょう。まず最も大きな違いとなるのは、クラスの編成です。一般的な保育園や幼稚園では、同じ年齢の子供同士でクラス編成を行っています。
ですので、モンテッソーリ教育を行っている保育園では、年齢の横割りでクラス編成を行いません。クラスの編成は縦割りで行います。これは年齢が上の子供たちは下の子供の面倒を見たり、お手本になるように振る舞うことを目的としたものです。
中間の年齢の子供たちは年上のお兄さんやお姉さんたちの姿を見て学び、年下の子たちへの接し方や振る舞い方を自然と真似するようになります。
そして下の子供たちはお兄さんやお姉さんたちと接することで、様々なことが学べるという形です。これが一般的な保育園との大きな違いです。
モンテッソーリ教育の保育園の『3つの特徴』
ではモンテッソーリ教育を行っている保育園には、3つの特徴があると言われています。
この3つの特徴についてそれぞれ見ていきましょう。
【特徴1】縦割りクラス
モンテッソーリ教育ではクラスが縦割りになることはお伝えした通りです。一般的な保育園や幼稚園では年齢を横割りでクラスの編成をしますが、これは面倒を見る大人側が楽だという理由が大きいでしょう。
ですがモンテッソーリ教育では縦割りクラスにすることで、子供たちに社会性や協調性を身につけさせるのが目的です。ただし0歳児から1歳児といった赤ちゃんは別となります。
さすがに赤ちゃんのお世話をすることは、上の年齢の子供たちには難しいからです。そのためモンテッソーリ教育の保育園では、以下の年齢を目安にしてクラス編成を行っています。
- 2歳半~6歳
数字の上ではあまり年齢は離れていませんが、この年頃の子供は1日で大きく成長していくものです。そのため先述したように上の年齢の子供は、下の子供たちの面倒を見ることもできるのです。
【特徴2】お仕事の時間
モンテッソーリ教育の特徴の1つがお仕事の時間です。通常の遊びとは違って、明確な目的を持って行われるのでお仕事とされているのです。特殊な教具を使って、お子さんが興味を引かれることを学習する時間になります。
- 1日に1時間半~3時間程度
- 自由時間もある
といったような形で行います。お仕事の時間といっても1日そればかりをするのではありません。1時間半~3時間程度を目安として行われます。もちろん自由時間も設定されているので、子供たちが何も考えずに遊ぶことも可能です。
【特徴3】年間行事
モンテッソーリ教育の最後の特徴が年間行事についてです。一般的な保育園ではイベントが意外と多くあります。
- 運動会
- お遊戯会
- クリスマス会
- お泊り会
- 遠足
などのようなものです。モンテッソーリ教育でも、こうした年間行事がないとは言いません。ただあまり力を入れていないのも事実です。何故ならモンテッソーリ教育では、子どもたちが日常生活の中で得る学びを重視しているからに他なりません。
これらの年間行事を行うのは悪いことではないですが、モンテッソーリ教育の本質からは遠ざかってしまうものなのです。そのためまったく年間行事がないということはありませんが、一般的な園よりは控えめになっていると考えて良いでしょう。
モンテッソーリ教育の保育園で働くのに必要な資格
では最後にモンテッソーリ教育の保育園で働きたいと考えている保育士や、未来の保育士に必要な資格を確認していきます。結論からお伝えしますと、保育士として働くのに必須なのは保育士の資格です。
他に必要な資格は特にありません。ですが以下のような民間団体が発行する独自の資格があります。
- 国際モンテッソーリ協会
- 日本モンテッソーリ協会
- 日本モンテッソーリ教育総合研究所
モンテッソーリ教育を行っている保育園で働きたいのであれば、いずれかの資格を取得しておく方が無難でしょう。
まとめ
モンテッソーリ教育についてのまとめでした。モンテッソーリ教育とはイタリアの女性医学博士が提唱したものです。日常生活の中で子供は自分を発達させる術を持っているので、大人はそれを補助するだけで良いとする教育方法になります。
独特な教具を使うのが特徴の1つでしょう。日本における一般的な保育園との大きな違いは、クラスが縦割り編成であるといった点でしょう。
日本では年齢横割りのクラス編成が通常ですが、モンテッソーリ教育では年齢の異なる子供を同じクラスにすることで、子供同士の関わりあいを通して社会性を身につけるようにしています。