乳児院とはどんな特徴があるの?働くときの仕事内容&給料・ボーナス
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乳児院は様々な理由により親と生活することのできない0歳~2歳くらいまでの子どもたちが暮らす施設です。
乳児院で働く人のなかには保育士も含まれているため、保育園以外の転職先として詳しく知りたいという保育士さんもいるでしょう。
そこで今回は「乳児院」という施設やそこで働く保育士さんの仕事についてご紹介します。
乳児院はどんな施設?
乳児院とはどんな施設なのかを具体的に見ていきましょう。
乳児院の施設の役割・対象児童
乳児院は様々な事情によって家庭で暮らせない子どもたちが生活する施設のことです。子どもたちの年齢層は新生児・0歳~2歳くらいまでです。
原則的には1歳未満の乳児を養育する場が乳児院であり、1歳以上の児童は児童養護施設で養育されます。
しかし必要があれば小学校入学以前の幼児でも乳児院で暮らすことも可能です。実際、2歳あるいは3歳まで入所していることも多いです。乳児院という名ですが、乳幼児が対象年齢となります。
保育園との大きな違いは、乳児院は子どもたちの生活の場であるということです。仮に子どもの入院期間が短期間的なものであっても、そのあいだ院で24時間生活することになります。
そのため乳児院で働く方々は子どもたちにとって親のような存在なので、保育士さんも家族的な関係で子どもたちの成長をサポートすることになります。
どういう子どもたちが暮らしているの?
歴史的にみれば、もともと乳児院は戦災孤児、浮浪児、棄児(捨て子)などを保護・養育する施設でした。
時代が変わるとともに子どもたちの入所理由も変化しました。厚生労働省によれば(参照:『乳児院運営指針』)、乳児院の入所理由として、
- 母親の疾病(精神疾患を含む)
- 虐待
- ネグレクト
- 父母就労
- 受刑
などが挙げられますが、現在では「母親の精神疾患」「虐待」による入所が増加傾向にあるそうです。平成30年の調査では、乳児院の子ども約4割が虐待の体験があるというデータもあります。
また、「乳児院の子どもは、入所当初から心身に何らかの問題を抱えている場合が多く、入所児の約半数が病児・虚弱児、障害児、被虐待児である。」と記載されてもいます。
こういう背景からスタッフの方々は「子どもたちとの関わり方」については個別的な対応が求められるでしょうし、保育士という立場にありながらも「医療的・療育的ケア」への配慮から、専門外の知識についても触れることが多いかもしれません。
乳児院の施設数・定員・現員・職員総数
厚生労働省の調べによれば(2018年現在)、乳児院の施設状況は以下の通りです。
- 施設数:140カ所
- 定員:3,857人
- 現員:2,678人
- 職員総数:5,048人
乳児院の設置数については平成30年10月で139カ所ですが、平成20年10月には121カ所だったので、十年前と比べると1.1倍の増加です。
しかし、乳児院へ入所する子どもの数は平成30年10月の現員2,696人に対して、平成20年10月には3,124人と過去10年で約1割減となっています。
乳児院ではどんな職員が働いているの?
乳児院の職員配置は次のように定められています。
- 保育士
- 医師または嘱託医
- 看護師
- 個別対応職員
- 栄養士・調理員
そのほか心理療法担当職員や家庭支援専門相談員など、対子どもはもちろん対親・保護者へのサポート体制も整えられています。
こういう環境のなかで保育士さんも働くことになるので、保育園とは違った人間関係を築きながら勤めることになります。
乳児院で働くための特別な資格はなし?
保育士として働く場合には保育士資格があれば応募することができます。保育士以外の特別な資格が必要だったり、研修・実習を受けていなければならなかったりということはありません。
また保育士経験についても、乳児保育が未経験でも問題ありません。
乳児院での保育士の仕事内容
乳児院での保育士の仕事内容として、まず一般的な保育園と異なるのは勤務形態だといえます。
施設では24時間子どもたちが生活しているため、「夜勤あり・2交代制」という働き方が基本です。仕事内容としては「食事・睡眠、排泄・入浴などの世話」をします。
1日の流れ | |
---|---|
8時 | 夜勤からの引継ぎ作業、朝食や排泄の介助 |
9時 | 遊び(歌や読み聞かせ、外遊び) |
12時~ | 昼食、午睡の準備 |
15時 | おやつ |
18時 | 夕食、入浴の介助 |
19時 | 夜勤への引継ぎ |
昼間の仕事については一般的な保育園の流れと変わりありません。ただ、保育士以外の職員さんとチームになって業務に取り組む意識は強くなります。
病児・虚弱児、障害児などの子どもたちもいますし、子どもの入所背景などから子どもひとりひとりへの関り方、保育の仕方には特別な配慮が必要な場合もあります。
夜勤の場合には睡眠の準備や介助、異常がないかのチェック、ミルクをやったりおむつ替えをしたり、夜泣きのケアをしたりといった内容がメインです。
求人例から見る乳児院での保育士の給料・ボーナス
ある乳児院での求人例をご紹介します(福利厚生など詳細な内容は省略しています)。
- 給与:月給22万円
- 手当:夜勤手当5,000/回、宿直手当4,000円/回
- 勤務時間:
2交代制勤務(8時間:交替制)
日勤9時~18時
早出 7時~16時/遅出 13時~22時
夜勤:月2~3回程度(22時~翌8時) - 休日:
4週 8休制
指定休(お盆・年末年始)
その他特別休暇あり
年次有給休暇 初年度12日 - 昇給・賞与:
・昇給年1回
・賞与年3回(年間計/5ヶ月分)
乳児院の保育士のお給料は一般の保育園と比較すると高めで、21万~25万円くらいが相場です。ボーナスは年2回~3回の年間2ヵ月~5か月ほどです。
シフト制で夜勤手当、宿直手当がつくことが多いです。勤務時間やシフト内容については施設によって様々です。
いくつかの求人をみたところ、日勤をベースとし、夜勤は月に数回という施設が多いような印象です。
乳児院の求人情報
2018年現在、施設数は140なので求人数もそれほど多くはありません。しかし調べてみると、まったく求人が見つからないというわけでもありません。少し探してみるだけでも、募集中の施設はちらほら見つかりました。
ただ、条件をきびしく選んでいくと、なかなか応募までたどりつかないような数ではあります。また、働き方として正社員募集が中心になります。
乳児院で働きたいというやる気があって、給料や求人内容よりも仕事のやりがいを重視する人向けの職場といえるかもしれません。
学生や仕事を始めるまでにゆとりのある人などであれば、まずはボランティアから始めてみるのもいいでしょう。週に数度、子どもたちの遊び相手や掃除などの手伝いをするボランティアを募集している施設もあります。
乳児院のやりがいは?きつくて辞めたくなる?
乳児院での保育では乳幼児たちの母親代わりのような存在としての一面もあります。保育園と比べることはできませんが、乳児院ならではの責任感が伴う分、子どもたちの成長を間近に実感しやすく、大きなやりがいを感じられます。
一方、子どもたちの家で働いているようなものなので、夜間勤務などの大変さもあります。良い面も悪い面も、主観的な感じ方の部分では人それぞれですが、体力面での大変さという点では多くの保育士さんに共通したポイントになるかもしれません。
しかしこれも、慣れてくれば何の問題もないかもしれません。求人を見ていると、この点に配慮している施設も多く、採用後半年ほどは夜勤勤務なしとしているところも多いです。
まとめ
今回は「乳児院」やそこで働く保育士さんの仕事についてご紹介しました。乳児院は様々な事情によって家庭で暮らせない子どもたちが生活する施設のことです。子どもたちの年齢層は新生児・0歳~2歳くらいまでです。
乳児院の入所理由として、母親の疾病(精神疾患を含む)、虐待、ネグレクト、父母就労、受刑などが挙げられます。現在では「母親の精神疾患」「虐待」による入所が増加傾向にあるそうです。
施設数は140カ所で、保育士のほか、医師または嘱託医や看護師、栄養士なども配置されています。保育士として働く場合には保育士資格があれば応募することができます。
施設では24時間子どもたちが生活しているため、「夜勤あり・2交代制」という働き方が基本です。仕事内容としては「食事・睡眠、排泄・入浴などの世話」をします。
乳児院の保育士のお給料は一般の保育園と比較すると高めで、21万~25万円くらいが相場です。ボーナスは年2回~3回の年間2ヵ月~5か月ほどです。
2018年現在、施設数は140なので求人数もそれほど多くはありません。しかし調べてみると、まったく求人が見つからないというわけでもありません。
少し探してみるだけでも、募集中の施設はちらほら見つかりました。ただ、条件をきびしく選んでいくと、なかなか応募までたどりつかないような数ではあります。