【保育士】つわりで思うように働けない!傷病手当金で仕事を休む方法
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妊娠はとても喜ばしいことですが、つわりなどの体調不良になりながら保育士として働くのは正直、かなり大変なことです。
つわりは妊婦さんの大半がなるものであり、妊娠中つらい身でどうにか働いていたといった話もよく聞きますが、無理せず、自分の体を第一に優先して休みをとることも大事です。
こんな時に気になるのが妊娠中の休職。より詳しくいえば、休みの間のお金の心配です。有休その他の福利厚生を使ったとしても期間や状況によっては収入がゼロになる場合もあるでしょう。
そんな時に「傷病手当金を申請すればいい」という話を聞いたことがあるかもしれません。そこで今回はつわりで休暇をとりたい場合の傷病手当金についてお話ししたいと思います。
そもそも「傷病休暇」とは?保育士の休職制度について
病気や怪我等で長く働けなくなることがあります。そんなとき、働けないなら退職、となるのではなく、復帰を見込んで治療や入院のためにしばらく休暇をとれる休職制度というものがあります。
ただ、法的にすべての保育園がこの制度を設けなければいけないというきまりはなく、園によって休職制度の有無や内容は違います。
しかし多くの園で休職制度を導入しているのが一般的です。自園の休職制度がどうなっているのか知りたい方は保育園の就業規則を確認してみましょう。
この休暇制度でとれる休みのことを「傷病休暇」といいますが、タイプとしては2つあります。
「公傷病休暇」と「私傷病休暇」
公傷病休暇とは、業務中に負った怪我や、業務が原因となった病気で仕事を続けることが困難になったときに休む場合のものをいいます。
一方、私傷病休暇というのはプライベートで病気やケガを負って休む場合のものをいいます。一般的に「傷病休暇」といえばこの「私傷病休暇」のことを指し、つわりなど妊娠に伴う休暇はこちらにあたります。
傷病休暇を申請する方法は?
通常、傷病休暇を申請する時には業務が困難だという証明をする必要があり、「○○ヶ月の休養が必要」といった医師の診断書をもらって園に提出することが多いです。
その後、園長と相談して休職期間を決めます。
傷病休暇の取得できる期間は?
傷病休暇のとれる期間は園によって違いますが、産前休暇まで取得できるケースが多いです。また、休暇期間の延長の有無なども園によって異なります。
例えば就業規則に最長3ヶ月と決められており、もし病状が快復せず働けない場合には改めて診断書を提出したうえで、休暇を延長するといった対応です。もし延長制度がなければ、そのまま退職という流れになります。
しかし妊婦さんの場合、ほかの病気などと違っていつまでその状態が続くか分からないというものではありません。2年3年と続くものではなく休暇期間の設定もしやすいため、産前休暇までといった場合が多いのだと思います。
傷病手当金とは?
先に説明した「傷病休暇」とは文字通り、あくまでも休暇がとれるという制度です。給料などの補償までも含んだものではありません。
そのため、有給や園の福利厚生による手当を使えない場合には、無給で休みをとることになります。
そのように事業主から十分な報酬が受けられないとき、健康保険が被保険者の生活を保障するために設けられた制度を「傷病手当金」といいます。
これは健康保険による保障であるので、園の福利厚生とは関係がありません。傷病休暇の申請は園に対して行いますが、傷病手当金についてはその申請先は健康保険に対して行います。
傷病手当金が支給される条件は?
傷病手当金は支給の条件が4つあります。
この条件すべてを満たしている必要があります。それぞれもう少し詳しく見てみましょう。
1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業
プライベートで病気やケガを負って休む場合を「私傷病休暇」と呼ぶという話をしましたが、「業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業」とはそのことをさします。
業務上・通勤災害による病気やケガであれば労災保険の給付対象になるので対象外となりますし、病気と見なされないものも支給されません。
自宅療養の期間についても支給対象となりますので、特別入院していなければならないというわけでもありません。
また、健康保険を使った療養だけに限らず、自費で診療を受けた場合でも、働けないという証明があるときには支給対象となります。
2.仕事につくことができない
仕事につくことができないという条件は入院レベルでなければとても漠然としたものに思えますが、この判断は医師などの意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。
3.連続する3日間を含み4日以上仕事につけなかった
「連続する3日間を含み4日以上仕事につけなかった」というのはややこしい条件ですが、とにかくはまず3日間続けて休みをとっていなければなりません。
しんどくて休ませてもらった日が2日だけ続き、その翌日に体調がよくなって出勤すれば条件を満たせません。また、3日間続けて休んだのち、その後、いくらか出勤したとしても、それからまた休暇をとりだした場合、その4日目以降に対して傷病手当金が支給されます。
3日連続の休みのことを「待期3日間」といいますが、これには有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるので、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
4.休業期間に給与の支払いがない
傷病手当金は事業主から十分な報酬が受けられないときの保障制度です。つまり、給与の支払いがある期間は傷病手当金は支給されません。
ただし「十分な報酬が受け取られない」という文言からも分かるように、たとえ給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合にはその差額が支給されます。
つわりで傷病手当金はもらえるの?
傷病手当金が支給される条件のなかに「仕事につくことができない」というものがあります。また、「病気と見なされないものには支給されません」というものもあります。
では、つわりの場合にはどうなのか?という話ですが、医師に診断書をもらうことができれば傷病手当金を請求することができます。
医師に病気と判定されるものとして重症なつわりである「妊娠悪阻(おそ)」があります。しかしこれほど重症ではあくても、働けないほど大変なこともあるので、医師に診断書を書いてもらえないか相談してみるといいでしょう。
診断書が作成されなかったらどうなるの?
もし病気と診断されず、診断書を作成してもらえないときには残念ながら傷病手当金の条件を満たせず支給されません。
傷病手当金が支給される期間
傷病手当金の期間は、支給が開始された日から最長1年6ヵ月です。妊婦さんの場合にはおそらく関係はありませんが、この1年6ヵ月というのは最長の猶予期間みたいなものです。
例えば支給が1年間続いて、その後に復帰した場合には当然支給はなくなりますが、その復帰期間も1年6ヵ月のうちに含まれます。なので1年6ヵ月間を過ぎたのちに、再び休みに入った場合には支給されません。
もちろん、1年6ヵ月間のあいだであれば復帰し、再度仕事ができなくなった場合の期間は傷病手当金は支給されます。
支給される傷病手当金の額
傷病手当の金額は現在のお給料によってそれぞれ異なります。
- 1日あたりの金額=「毎月の平均報酬額」÷30日×2/3
「毎月の平均報酬額」というのは支給開始日までの継続した12か月間の各月の標準月給を平均した額のことをいいます。
もし働きだして12カ月に満たない場合には上の画像のように細かな取り決めがあるので、詳しくは実際に手続きするときにチェックしてみてください。
傷病手当金の申請方法・必要書類
まず傷病手当金の申請に必要な書類は次の3つになります。
- 傷病手当金申請書
- 出勤簿又はタイムカードの写し
- 賃金台帳の写し
この3つをそろえて手続きする方法は大まかに以下のような流れです。
1.「傷病手当金申請書」の用紙を取得(※健康保険のサイトからダウンロード可)
2.「傷病手当金申請書」の作成
→医師に「療養担当者が意見を記入する欄」への記入依頼
→「被保険者本人記入欄」を本人が記入
→園に「事業主が証明する欄」への記入依頼2.「傷病手当金申請書」と「出勤簿又はタイムカードの写し」「賃金台帳の写し」を提出(郵送)
3.審査後、手当の支給が開始
支給が決定してから約2〜3週間後に支払われることが多いです。
出産手当金について
出産のため仕事を休み、その間に給与をもらっていなかった場合、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)より42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日から56日目までの期間内で出産手当金が支給されるという健康保険の制度があります。
これは傷病手当金と重なるケースもありますが、「傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給することとなります。」となっています。
まとめ
今回はつわりで休暇をとりたい場合の傷病手当金について解説しました。
事業主から十分な報酬が受けられないとき、健康保険が被保険者の生活を保障するために設けられた制度を「傷病手当金」といいます。
傷病手当金は支給の条件が4つあります。これらすべてを満たすことで支給されます。つわりの場合にも医師に診断書をもらうことができれば傷病手当金を請求することができます。