仕事がつらい、向いてない、人間関係ですぐ辞めるのは甘えや逃げか?
今すぐにでも仕事を辞めたいけれど「辞めたら甘えじゃないの?」とふと頭によぎることがあります。あるいは、上司や同僚、身内にそう意見されることもあるでしょう。
- 仕事がきつい
- 仕事ができない、向いていない
- 人間関係がうまくいかない
いろんな悩みやストレスを抱えているけど、これって社会人なら当たり前?こんなことで辞めていたのではキリがない?
甘えや逃げと思われるだけでも癪に障りますし、自分自身でもそんな人間だとは思いたくない。それに、もしこれが甘えだとしたら、仕事を辞めるという選択は将来的に後悔するものにならないか。
「仕事を辞めるのは甘えや逃げなのか」についてはよく考えてみる必要がありそうです。
- 仮に辞めることが甘えだったとして、その人自身の損失は何ですか?
- 仮に甘えを乗り越えて辞めずにいたとして、得られるものは何ですか?
仕事を辞めたいと悩んでいる人はこういう問いを吟味するのもいいでしょう(本文で詳しく説明します)。
思うに、この種の悩みを抱きやすい人は、考える主体が自分自身ではなくなっている場合が多いように思えます。
この記事は、他者や環境、社会通念など身の回りのものをひとまず置いておき、自分自身の人生を自分自身で考える機会を設けることを目的の一つとしています。
筆者は「仕事というのは辞めたくなったら辞めてもいい」と考えています。
本文ではその立場から話を進めていきます。そのなかでは転職する際の不都合について、「経歴上、すぐに辞めてしまうと、選考に響かないか」といった現実的な問題についてもとりあげたいと思います。
仕事を辞めるのは「甘え」「逃げ」?を考える前に
日本の美学とでもいうのでしょうか。
戦で敵軍勢に追い込まれた武将、背を向けて逃げるくらいなら切腹した方がマシ。
熱血根性ものの野球やらバレーやらの漫画やアニメ、「おのれの甘えを許すな、しんどいものこそ積極的に真っ向からぶつかっていけ、乗り越えろ」的なストーリー展開。
こういった主張を完全におかしいものだとは思いません。
問題なのは、この主張そのものではなく、この主張を何でもかんでも適用してしまうということです。
本当に「この仕事だ!」と思えた時にこそ、甘えや逃げと向き合おう
甲子園を目指す熱血主人公がいたとして、我々は彼が困難から逃げずに乗り越えて成長する姿を見て胸を打たれます。
もし、この熱血主人公が野球を愛しておらず、むしろサッカーをしたいと思いながらも懸命に甲子園を目指し日々、苦難とぶつかっていたとしたら。
いや、君は無理してがんばらなくてもいいのに…と思いますし、主人公が厳しい練習に耐えかね、顧問に「おれ、野球部、辞めたいです」と言ったとき、顧問が「ここで逃げてもいいのか?一生後悔するぞ」とああだうこうだ言っても、いや、彼はサッカーがしたいから、と思うはずです。
当たり前の話をしていますが、案外に、甘えや逃げについての本質的な部分をおろそかにして悩んでいる人が多い気がします。
逃げや甘えの考えが有効に活躍するのは次のような場合に限ります。
- 自らの動機を持ってその仕事をしている
自分でその仕事をする意味を見出して働いている最中、何かしらの苦しみを感じて辞めたいと悩むときには、逃げや甘えを思考材料として進路を考えてみるのは役立つかもしれません。
困難もストレスや苦痛も、なんとなく働いている人かそうでない人では意味合いが違ってきます。
どんな人でも、働く目的、ビジョンは大切
つまり、働く目的を明確に持っていない人が、仕事を辞めたいけど甘えなのかなと悩むこと自体、ナンセンスだということです。
そんな場合では、その職場で働き続ける必要性がないのですから、辞めたい時に辞めればいいです。
ただ、その時に大切なのが、将来的なビジョンを持って働き続けたいと思える職場を見つけること。
それができなければ、転職を延々と繰り返すことになるか、ぐっと辛抱して働き続ける力を身につけるか、の二択しかありません。
今すぐに辞めたいことが誰がどう見ても甘えや逃げだった場合
仮にあなたが今すぐ辞めてしまうことが誰がどう見たって甘えであり、逃げだったとして、あなた自身の損失は何ですか?
情けないと思われる
いろんな人に、あいつ逃げたよ!と一時でも思われるのが損失だとします。
あなたが辞めた翌日にはみんな、あなたのことを忘れてしまうでしょう。
逃げ癖
よく言われる、嫌なことがあるたびにすぐ逃げるようになるといった「逃げ癖がつく」ことが損失だとしましょう。
結局これも、先述した働く動機、将来のビジョンに関わってきます。
嫌なことに出くわした時に逃げないようにタフになる、といった発想をやめて、嫌なことに出くわしてもがんばろうと思える環境に身を置きましょう。
そしたら逃げ癖も何も問題にならなくなります。
辞めることに対する責任感という損失
例えば損失が、「逃げのせいで職場の人に迷惑をかける」ことに対する罪悪感や不安ならどうか。
一次的に穴ができれば同僚たちには迷惑をかけますが、会社で働く誰もが突然に辞めたり休んだりする可能性をはらみながら日々、労働に従事しています。穴の作り合いです。
それに会社はだれが欠けても機能するような仕組みになっています。そうでなけば会社を会社として維持することは不可能です。つまり、辞めることに対する責任感は不要だということです。
転職が多くて辞めてばかりいても、甘えや逃げが原因ではない?
誰しも働き始めた職場ではずっと働けたらいいなと思います。
それが人間関係や労働環境などあらゆるストレスや不満と遭遇するうち、こんな会社なんてくそくらえだという気持ちになります。
その度、辞めてしまうのは甘えや逃げが原因なのか?
結論からいえば、何度も転職する人は甘えや逃げが原因ではありません。
転職時に、自己分析や企業分析などを徹底的に行わずに転職活動を進めていくのが原因である可能性が高いです。
仕事が向いてないのに、その職種ばかりにこだわっているケース
一週間もしないうちに仕事を辞めてしまうようなことを何度も繰り返している40近くの人を筆者は知っています。
時には3ヶ月、時には1年で、といった感じで転職しているのですが、その人はずっと同じ職種で働いています。
その人は小学校教員です。教員不足で、いつでも常勤講師などになれるような状況もあって、ある学校をすぐに辞めてはまた別の学校で辞めています。
これは仕事の甘えや逃げが原因でしょうか?筆者の目には「その仕事が合っていない」のが原因だと思います。
本人がその仕事にこだわる理由を詳しくは知りませんが、別の職種で働けば無限ループ的な転職はストップするのに、と思ってしまいます。
経験した職種や業界だと、転職活動の選考の際、自分的にも自信になりますし、アピールもしやすいです。ほかの仕事をいちから覚えることの不安もありません。
「なんかすぐに辞めてしまう。逃げかな?」と思って悩んでいる人がいれば、まずは今の仕事を辞めて、徹底的に自己分析したうえで、職種や業界を選び、求人選びをすることをしてはどうでしょうか。
それが単に不安だとかなんとなく抵抗があるとかで今の職種のまま転職するのであれば、それこそ「逃げ」という悩みで問題をすり替えて現実の解決から逃げていることになります。
職種が原因?と感じる人は思い切って進路変更してみましょう!といいたいところですが、仕事を辞めてしまう本当の原因が何かを突き止めるために、まずは転職エージェントに相談して分析してもらうことをおすすめします。
人間関係で辞めたいも甘えじゃないの?
例えばウザい上司がいる職場を想像してみましょう。
A氏はウザい上司と話しているだけでもストレス過多で、毎日、ウザくてかないません。
一方同僚のB氏も確かにウザい上司をウザいと感じてストレスにはなっているものの、巧みにやり過ごしています。
A氏は上司のウザさがウザすぎて辞めたいと言い出しました。B氏はこう助言します。「おれだってウザいと思ってるよ。でも、そこは上手に気にしないようにしなくちゃ」
しかしどうしてもウザい上司がウザくて精神的な苦痛でさえあるのであれば、どうすればいいのでしょうか。
ウザい上司との関係を何らかの方法で解決するしかありません。
- 部署異動する
- 会社に相談して上司を指導してもらう
- 上司に直接申し出る
- 上司が異動や退職するのを待つ
- 自分がその職場から去る
こうして解決方法を出していった場合、まずは「辞めずに済む方法」を試してみて、それが実現できなかったら辞めるか、辞めたくなければ意識改善や行動改善、気合で我慢するしかない、といった流れで考えられることが多いです。
そのため、現実的にいえば、部署異動や上司の指導といった「辞めずに済む方法」は不可能に近いことがほとんどですから、ストレスで辞めたくなった場合、自分の身の振り方をどうするか、という解決法しか残されていません。
じゃあ転職しようか?となってしまえば、次の職場でもウザい人がいるかもだから、ずっとおんなじ繰り返しになるよ、結局、人間関係を調整したり時には我慢したりする力が必要なんだよ、大人っぽくね、だから、人間関係で辞めるなんて甘えなんだよ、といった話になります。
この論法はもっともらしいですが、Aさんがなぜウザい上司をウザいと思ってしまうのか、いったい何がそんなにウザくさせるのかを細分化して点検してみる必要があるでしょう。
例えばAさんのポジションが今とは違うものであれば、ウザい上司がウザくなくなるかもしれません。あるいは、上司がウザくなってしまうのはその社風や職場環境が原因かもしれません。環境が人格を規定すると言いますから。
上司は恋人のような関係ではないので、「嫌い」と感じさせる原因はより複雑で、複合的なのかもしれません。ただ、人間関係の悩みって複雑なものだから我慢するしかない、と結論づけては何の解決にもなりません。とくに転職する場合には。
やはり、この場合にも分析です。転職するにしても、この経験を生かした正しい転職活動にしなくてはなりません。そしたら次の職場で前の職場にいたようなウザい上司がいても、Aさんだって今度はBさん的になれることも十分にあり得ます。
パワハラやセクハラ、いじめ、ブラックな会社の場合
説明不要かもしれませんが、パワハラやセクハラ、いじめ、ブラックな会社での過労などで今すぐ辞めたい人はすぐにでも辞めてしまいましょう。
とはいえ、こういう状況に身を置いている人は案外に、その環境の異常さに鈍くなっていることがあるので、本当に危険なことだと思います。
特に真面目で仕事熱心な人。おかしな状況で労働しているのに、今辞めたら甘えだと自己洗脳のように信じ込み、結果、心身ぼろぼろになってしまって人生がめちゃくちゃにされたのではやりきれません。
うつになったから辞めたいけど、休職したり薬を飲んだりしながら留まるべきか?精神疾患の場合
筆者は精神疾患で仕事を辞めた経験があります。
うつで通院しているサラリーマンはたくさんいますが、その状況は上司があなたを説得するための道具としてもってこいの事例です。
多少の精神疾患も込みで働くということなんだといったスタンスから、実際に同じ会社で働いているYさんも、うつだったよ、働きながら通院して今は完治してるよ、などと言ってくるかもしれません。
あるいは、しばらく休職すればどうかな?ゆっくり心を休めたら、またバリバリ働けるよ、と提案してくるかもしれません。
また、自分自身でもそういう選択もありかなと考えている人もいるでしょう。
この場合も、何がうつにさせたのか、を考えてみることが大切です。といっても、現在うつであれば、そんなことを考える気力さえないかもしれませんが。
心が健康でいられる仕事や職場とは自分にとってどのようなものかを探すことは大切です。くれぐれも知っておいてほしいのは、そんな仕事や職場はこの世に存在するということ。
どこで働こうが何して働こうが精神疾患を起こしてしまいそう、それは自身の性質によるものだから、と思う人もいるはずですが、そんなことはありません。
仮に、そのような性質があったとしても、その性質をなるべく出現させずにすむような仕事や職場はあります。
衝動的に辞めてもいいと思いますが、衝動的に次の職場で働きださないようにだけ気をつけましょう。
すぐに辞めてしまったら転職の選考に影響はない?
入社後、休みなく働きつづけることを強要されるブラック企業だと気づいてすぐ辞めた場合なら、採用担当官も理解してくれるでしょう。
では、人間関係ですぐに辞めた場合には選考に影響はないか?
結論からいえば、転職に響くか響かないかは、あなたの見せ方次第です。
履歴書にせよ面接にせよ、それらは「うちの会社で貢献してくれそう。ぜひ働いてもらたい」と思わせるための手段です。これは応募者全員が共通して与えられたアピールの機会です。
とはいえ、アピールしづらい経歴であればどうすればいいのかという話ですが、ネガティブなものをポジティブに見せる方法を対策しておかなくてはなりません。
ひとりでできますか?
できませんと感じたら、誰かに頼ればいいだけなので大丈夫です。利用できるものは利用して、上手な見せ方のアドバイスをしてもらいましょう。
それについては次で説明します。
仕事を辞める場合には転職活動の方法にこだわろう
とにかく採用されそうな求人に応募して働けたらいいや、といった今のストレスを解消するだけの転職にならないように気をつけましょう。
それこそ、次の職場でもまた同じような悩みを抱えて辞めたいと思い、でも辞めたら甘えだよなあとなってしまいます。
- 現在の仕事について
- 自己について
- ビジョンについて
転職活動をするときにはまずこの3つについて深く知るところから始めましょう。
特に自己分析と将来のビジョン。これは転職活動の土台となる「礎石」です。
自己分析と将来のビジョンは求人探しにも、履歴書作成や面接対策でも、必要になってきます。ここはじっくり取り組むべきところです。
そのために必ず転職に精通した転職エージェントに相談してください。
具体的に転職活動を進めていく流れを示すと次のようなものになります。
- 自己分析をしてみる⇒リクナビNEXTのグッドポイント診断を使う
- 転職エージェントに相談する⇒まずはリクナビエージェントだけでいい
たったこれだけです。これだけでこれまでの転職とはまったく違ったものになります。
転職エージェントを使えば、あなたの強みや特性を分析してくれ、そこからマッチした求人を紹介してくれます。自分で探すよりも圧倒的にマッチング率も高いです。
履歴書作成を手伝ってくれますし、面接対策もしてくれます。すぐに辞めてどうアピールすればいいか分からない人は転職エージェントの力を借りましょう。
まとめ
仕事を辞めたい時に「甘えや逃げかな?」と思った時には、自身の人生について見なおすことが大切です。
仕事を辞めるにせよ、働き続けるにせよ、どのような行動をとるにしても「なぜそうするのか」が分かっていなければ、正しい選択というものはそもそも存在しなくなります。
これを機会に、自分を考える時間をしっかり持ってみてはいかがでしょうか。