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発達障害の検査結果【転職体験ブログ第2章第3話】

大学卒業から二年間、いくつものアルバイトを転々とし、まったく続きませんでした。

気に入らない人間がいる、性に合わない仕事があると少しでも感じればそれにこだわってストレスフルに。時には雇い主ともめて逃げるように辞めたことも。

それから塾講師になりましたが仕事での悩みがたくさんありました。説明されても理解できないだとか、細かな作業をするとそわそわしてしんどくなるとか、急なトラブルで思考停止するとか。

あるいは人間関係でも他者とのズレを感じる場面がちらほら。ちょっとした人付き合いにも大きな疲労感を抱くことも。

医師に発達障害の可能性を指摘され、検査を受けることに。

今回はそのお話です。

発達障害の検査

その日、病院へ行くとさっそく検査をすることになりました。二枚の検査用紙を渡されて記入するように指示されました。一般的に幼少や学生時代について調べるための問診があるそうですが、僕はそれを前回に済ませていました。

受けたのは二つの検査です。

  • AQ
  • CAARS

どちらも心理テストみたいな検査でした。

AQ

AQ

正式には「AQ 日本語版 自閉症スペクトラム指数」という名だそうです。その名の通り、高機能自閉症や前回の記事で紹介したアスペルガー症候群について調べるものです。

質問項目が50個あり、

  1. あてはまる
  2. どちらかといえばあてはまる
  3. どちらかといえばあてはまらない
  4. あてはまらない

の四つのどれかで回答していきます。質問内容はこんな感じです。

  • 何かをするときには、一人でするよりも他の人といっしょにすることを好む
  • 博物館に行くよりも、劇場や映画館に行く方が好きだ
  • 他の人は気づかないような、小さな物音に気づくことがしばしばある
  • 何かをしているときにじゃまが入ってもそれまでやっていたことにすぐに戻ることができる

こんな質問でいったい自分の何が分かるのかと疑いたくなりますが、きちんとした検査みたいです。

その回答をもとに点数を計算します。それぞれの質問の「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあてはまらない」「あてはまらない」の4つには点数がつけられています。もちろん検査中には分からないようになっています。

例えば最初の質問で「あてはまる」を選択した人は「1点」で「あてはまらない」を選択したなら「0点」、二番目の質問で「あてはまる」を選ぶと「0点」で、という具合です。

全てを採点して合計点を出します。総合得点は50点です。

AQ採点内容(出典:元住吉こころみクリニック「AQ(自閉症スペクトラム指数)」)

僕は「29点」でした。ちなみに健常な社会人の点数は「平均11・5点」だそうで、健常な社会人のなかで33点以上になったのは3%弱という結果らしいです

CAARS

CAARS

CAARSの方はADHDを調べるものです。

こちらは質問項目が66個あります。回答の仕方は、

  1. まったく当てはまらない
  2. まったくない
  3. 非常に当てはまる
  4. とても頻繁にある

の4つです。こちらの方は質問用紙が回収されて手元にないので、詳しい質問内容を書くことはできませんが、調べると「うっかり口を滑らせてしまうことがある」などでした。確かに日常の行動や気持ちに関わる心理テストみたいな感じでした。

何を調べているかというと、

  • 不注意/記憶の問題
  • 多動性/落ち着きのなさ
  • 衝動性/情緒不安定

などの度合いや

  • 不注意型症状
  • 多動性-衝動性型症状

というような、どのタイプの傾向が強いかというものです。人によって不注意タイプだったり、多動性や衝動性タイプだったりと異なるのです。

調べる内容は全部でAからHまで8つに分かれており、それぞれに点数がつけられます。Aは「不注意/記憶の問題」で、Bは「多動性/落ち着きのなさ」といった感じ。

この計算方法は僕には分かりませんし、検査結果のグラフもその見方がややこしかったです。医師も簡単にしか説明してくれませんでした。

AからHそれぞれの最高点数は「90」です。その点数が高いほど、その傾向が強いということだと思います。ちなみに「矛盾指標」というのがあって、いいかげんに回答しているとさっきの質問と答えている内容が真逆じゃないかと分かるようになっています。

Hの項目は「ADHD指標」と言って「ADHDの人とそうでない人を判別するための項目」らしいです。これが僕の場合「85」でやたらと高くて驚きました。

その他の検査

僕の受けたのは2つだけです。そのほかにも様々な検査があります。正直その2つを受けてみて「こんなんで発達障害かどうかは分からないだろう」という感想です。

他には「WAIS-Ⅲ」というのもよく使われているそうです。

これはいわゆる知能検査です。言語能力を調べたり、IQテストみたいな計算をするらしいです。脳みその使い方を分析して、そこから発達障害かどうかを判断しようというものらしいです。しかし、これに関しても障害を断定できるほどの検査ではないような気がします。

発達障害の傾向がある

発達障害は血液検査で判明する病気などとは違う、と医師にも言われました。

「まあ、発達障害の傾向があるかもしれません。しかし、これだけではそうだと言い切れません」

僕もその通りだと思いました。しかし、結果がはっきりしないのはなんだか気持ち悪いです。

「他の精密検査を受けることはできないですか?」

「あまり勧めません」

「どうしてですか?」

「それを受けて、発達障害だと分かったとしても、だからどうなるんですか?仮にですよ、仮に発達障害だとしても治すことはできません。まあ、納得してすっきりした気分になることはできるかもしれませんが」

「そうですか」

発達障害はその人の特徴として一生付き合ってもいくものです。だから、発達障害かどうかより、今の生活をきちんと送れるようになれるのが大切です。それにね、検査によってはとても高額なんですよ」

あとで調べてみると、WAIS-Ⅲはもし保険が適用されなかったら3万6000円らしいです。僕の場合も医師にその検査が必要だと認められなければ保険対象外になるかもしれません。

「分かりました。他の検査は受けません。先生的には僕は発達障害だと思いますか?」

「いやあ、そればっかりははっきりは言えません。私にも分からないので」

医師はそう言ったんですが診察も終わる頃でした。僕が双極性障害を抑える薬がなんだか合ってない気がすると話すと、

「ではこのお薬を試してみましょうか。これは発達障害によく効く薬と言われています」

思いきり、発達障害だと決めつけているみたいです。

しかし先生の言うように発達障害かどうかよりも、生活をちゃんとするための行動が必要です。おまけに双極性障害とも診断されていますし、今はしっかり精神を安定させようと思って心療クリニックを後にしました。

まとめ

検査を受けて発達障害の傾向があると分かり、正直、仕事に関する悩みが少しだけ軽くなった気がしました。業務のある部分に関して、うまくできないのはそのせいかもしれないと思えますから。

それは反対に、これからもずっとつきまとう問題を抱えているということでもあります。僕は休職中ですが、塾講師の仕事をずっとやっていける自信は検査後さらになくなりました。

それでも、自己や自分の人生について考えらえる機会を与えられたとも思えました。この先、仕事なんかで悩むとしても、その悩み方が変わるような気がしますから。

そんなことを考えて帰路につきました。

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