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なぜ仕事を辞めたくなるのだろう?不満の心理学

働いていると「あっ、もうやめようかな」と思いたくなる瞬間があります。今回は仕事を辞めたくなる原因、それがなぜ起こるのかなどについて考えてみたいと思います。

退職理由

退職理由は以下の順で多いみたいです。

 

退職理由ランキング(出典:リクナビnext「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」)

辞める理由、辞めたくなる理由は一つとは限りませんが、大雑把にいえば「不満がある」から辞めるという流れ。

病気や仕事外での事情を除いて、何一つ文句がなく働いているのに、辞めます!とはならないはずです。

当然といえば当然のことですが、この不満という点は厄介な感じがします。そのことについて考察してみたいと思います。

不満とは何か?

何かしたいって人は思います。というより、そう感じます。

それは「欲求」と呼ばれるものです。例えば興奮したい。

興奮できるものはたくさんありますが、例えばそれがホラー映画を見ることだったとしたら、その人は映画館に足を運んだりツタヤにレンタルしに行ったりします。それによって興奮したいという欲求が満たせます。

ところが映画館でホラー映画がいっさい上映されておらず、レンタルもできないとします。他の手段もありません。そうなると興奮できません。

それが欲求不満というやつです。

仕事に不満を感じて退職する時にも、突き詰めていけば自分の欲求が満たせないからだと思います。では欲求にはどんなものがあるのか。

欲求の種類

人間の欲求は五段階のレベルに別れているというマズローの自己実現理論は有名です。

  1. 生理の欲求:生命維持のための食事・睡眠・排泄などの根源的な欲求
  2. 安全の欲求:安全な環境で暮らしたい、経済的に安定したい、良い暮らしをしたい、良い健康状態でいたい
  3. 社会欲求と愛の欲求 :家族や集団をつくり、どこかに所属しているという満足感を得たい
  4. 承認(尊重)の欲求:自分が集団から存在価値を認めてもらい尊重されたい
  5. 自己実現の欲求:自分の持つ能力や可能性を最大限発揮したい

1と2は物質的な欲求、3から5までが精神的な欲求になります。つまり下にいくほどより高次な欲求になります。

基本的には1や2の欲求が満たされることで3の欲求が出現するといった感じらしいです。清貧の修行僧なんかは1のような最低限の生命維持と5のような高次な欲求の両極端のものだけを欲求している気がしますが、たぶん例外かと。

4の承認欲求と5の自己実現の欲求とは似ているように見えますが、例えばプロサッカー選手。

Jリーガーとして活躍している選手がいるとします。チームには欠かせないエースストライカー。年俸もたっぷり、ファンからも愛され、監督からも信頼を置かれており、存在価値を認めてもらいリスペクトされています。

しかし、本人は満足してません。世界にいけばもっとサッカーがうまくなる。おれは世界で活躍して一流の選手になりたい。それが5の自己実現の欲求です。

では仕事の話に戻しましょう。この5つの欲求のどれかが満たされていないから不満になり、結果仕事を辞めて転職を考えるのかもしれません。

先ほどのアンケートの内容で見れば次のような分類になりそうです。

1生理の欲求・2安全の欲求

  • 2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
  • 4位:給与が低かった(12%)

物質的な欲求に対する不満。もちろん将来的な不安もそこに含まれているでしょう。

食べたい、眠りたいなどの生理欲求は現代日本で暮らしているなら基本的に満たされているはずです。

しかし社畜なんて言葉があるように人権無視みたいなブラック企業の労働者はどうでしょうか。

長時間の残業ばかりで毎日の睡眠時間は3、4時間。あるいは上司との付き合いで毎日のように夜遅くまで飲みに行かされてゆっくり休息する暇もない。

こんな時、1の眠りたいなどの生命維持の生理欲求が働きそうです。

「給料が低かった」は安全の欲求だと。経済的に安定したいなど。

別に金持ちになるのを望んでなくとも、給料があまりに安いと将来が不安になりますよね。毎月の手取りがその月の家賃代や生活費でほとんど消えてしまう。

そんなんで将来大丈夫だろうか。結婚など家庭を持つ時の不安材料になります。

3社会欲求と愛の欲求

  • 3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
  • 6位:社長がワンマンだった(7%)
  • 7位:社風が合わなかった(6%)

「家族や集団をつくり、どこかに所属しているという満足感を得たい」というのがこれ。

人は何かしらどこかへ所属しています。完全にひとりで生きている状況は存在しません。こちらが望んでなくとも、ある集団内の枠組みのなかにいます。

そんな風にヒトは社会性を持っているものですしかしこれが満たされているかどうかは別問題。

会社に所属していても、おれは必要とされていないんだなどと感じれば欲求不満になります。あるいは人間関係でうまくいかないと孤独を感じます。

4承認(尊重)の欲求

  • 10位:昇進・評価が不満だった(4%)

誰かに認めてもらいたいという欲求が満たされない場合がこれ。しかし20代など、これを不満に思う方は少ないように思えます。

というかそもそも、認めてもらえる、認めてもらえないで自らを測れるような緊張感ある仕事にどれほどの人間が関わっているのか?

野心的に働けるような企業ばかりでもないですし、職種や業種についてもそう。評価とかあんまり興味ないという方もたくさんいるかもしれません。

5自己実現の欲求

  • 1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
  • 5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
  • 7位:キャリアアップしたかった(6%)
  • 7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)

自分の持つ能力や可能性を最大限発揮したい!が満たされないとこれ。

「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」というのは自分なりにこうしたい、このやり方が効率的だという考えがあるからだと。

また「仕事内容がおもしろくない」にしても、もっとやりがいを感じる仕事について充実したいだとか能力を磨きたいだとか。

暮らしの安定も大切だけど、上司やその企業のやり方で仕事をがんばる気が削がれるとか、その仕事がつまんないとかいった理由は前向きな感じがします。

こういう理由だと転職の際にも履歴書や面接で説得力のあるアピールができそうです。

今すぐ転職した方がいいのは物質的欲求による理由

アンケート1位であり、自己実現の欲求である「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」については転職するべきかどうか、考える余地があると思います。

例えば数年後、十年後、自分が上の立場になって仕事のやり方を変えるんだと志してその企業で働き続けるのもありだと思います。

あるいは今の自分から見たら「こんなやり方おかしいよ」と思うけど、もう少し働いて経験値アップすることで「ああ、なるほど。そういうことだったのか」と何か気づくことがあるかもしれません。

欲求の5段階で精神的なものほど、主観的な判断がそこに含まれているようです。「社風が合わなかった」にしてもそう。今の印象がそう感じさせているだけの可能性もあります。

しかし生理の欲求・安全の欲求については転職を考えた方がいいかもしれません

心身や物質的な不満というのは、その職場で働き続けて自分を変えようとがんばっても何も良くならないことの方が多いでしょう。

その企業で働いて健康を害する場合、即刻に辞めるべきです。他の職場でなら同じ目に遭わないで済みますし、確実に将来仕事を変えてよかったとなれると思います。

まとめ

不満の心理学をテーマに退職を考えてみました。

ド底辺のプロローグ~転職活動体験談~

ド底辺の始まりは29歳。仕事がきっかけで心身ともにボロボロになり、心療内科へ。退職を決意し、療養生活を経たのち、転職活動……続きを読む

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